#179
【読書】ニートがひらく幸福社会ニッポン 「進化系人類」が働き方・生き方を変える
二神 能基 明石書店
ニート・・・「学校にも行かず、就職しようともせず、職業訓練も受けない若者のこと。」(大辞泉)
二神さんはNPO「ニュースタート事務局」でニートや引きこもりの若者の社会復帰を支援しています。
私はなぜニートと呼ばれる人たちがこんなにも増えているのか、理解できていませんでしたが、この本を読んでそういうことなのか、と思いました。
若者にとって生きにくくなった世の中を何とか生きていく、自分なりの方法。仕事や生活にも希望を見いだせず、とりあえず現状維持で手に届く幸せを掴む方法。
二神さんはいろいろと原因をあげていますが、大きいのは、右肩上がりの上昇志向的価値観である「20世紀価値観」を持つ親の世代が、ふつうの幸せを求める「21世紀価値観」を持つ若い世代に「20世紀価値観」を押しつけ、若い世代の「21世紀価値観」を理解しようとしないことだそうです。
若者が就く仕事は少なく、仕事に就いても先も希望も見えず、しかし何もしなくても今の時代そんなに困らない。これまでの常識にとらわれず、自分の居心地の良いささやかな暮らしに満足する。
確かに私たちは高度経済成長によって様々な便利で豊かなモノを手に入れてきました。しかしそれと同時に同じくらいいろいろなものを失ってきたのです。高度経済成長のまっただ中を生きて来た人たちはそれに気づきながらも、自分たちがやって来たことが正しいと信じて疑わないでしょう。
しかし、若い世代には若い世代の生き方があり、この先どうやって生きていくのがいいのかを懸命に考えているのは当の若い世代であり、そこに古い価値観をもった古い人間がでしゃばることでいかに事態を深刻化しているか、よく分かりました。
2012-10-22
カテゴリー:日本の社会問題