#220
【読書】山下清作品集
山下 清 山下 浩 河出書房新社
山下清さんといえば、テレビドラマの題材として取り上げられるほどの方ですが、不勉強ながらその作品といったら、あの有名な「長岡の花火」くらいしか思い当たりませんでした。
花火好きらしいので花火の絵ばかり制作していたのかと思いましたら、とんでもない。
実に様々な絵を描いておりました。
自画像、花の絵、様々な風景画。何と、ヨーロッパの風景画もありました。山下さん、ヨーロッパに行ったことがあったんですね、知りませんでした。
意外だったのは、数々の戦争画を描いていたこと。
椹木さんの解説によると、当時は戦争のプロパガンダのために多くの画家に戦争画を描かせていた時代背景があったようですが、山下さんの優しい感触の貼絵だとその迫力も今ひとつで、実際山下さんの言葉や行動から戦争は嫌だったのではと推測されるようですから、それはそれで良かったのかもしれませんね。
貼絵の細かい紙片によるかすかな影が絵に奥行きを与え、表情も豊か。
画風もストレートな印象でありながら、様々な表現の工夫をしていることが分かります。
花火の絵もいいですが、私個人としては、花の絵がとても好きです。
2013-2-22
カテゴリー:画集・作品集