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#325
のと
梅 佳代 新潮社 (2013)
2006年に写真集「うめめ」で衝撃的デビューを飾った梅さんですが、「うめめ」を初めて見たときに感じた「梅」感(私が今思いついた造語です)」は未だ健在です。
見た目は単なるスナップ写真。コンパクトカメラで撮っているらしく、右下に撮影した日付が入ります。
日付を見ると、かなり昔のものからごく最近のものまであり、昔からこのスタイルで撮りためたものを出しているようです。
被写体は幼児から小中高生、おじさんおばさん、あるいはその辺にいる犬など、ごく日常で出会ったものばかり。
ちょっとおかしかったり、不思議だったり、ほのぼのしていたりで、ついつい見入ってしまいます。
そんな、誰でも撮れそうな写真でありながら、このような、日常の中の「?」とか「!」という写真を彼女の個性ならしめてしまいました。
梅さんがそのような一見親しみやすい写真を撮っているにも関わらず、私は梅さんに庶民派写真家のような距離の近さは感じません。むしろ、たまたまツールとして一般庶民が持っているようなフツーのカメラで撮っている確信犯的プロフェッショナルであり、「あはは」とか「くすっ」としてしまう光景を察知する嗅覚を持ったハンターのようで、それ故に彼女の写真はほのぼの写真ではなくギャグ漫画に近い気がします。
2014-6-21
カテゴリー:写真集