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#352

機械より人間らしくなれるか? AIとの対話が、人間でいることの意味を教えてくれる

ブライアン・クリスチャン 吉田 晋治 草思社 (2012)

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 科学技術の発展とともに人間が人間らしさを失いつつあり(それが人間らしさだ!と言われればそれまでですが)、逆に、問いかけに答えるスマートフォンなど身近な機械が人間らしさを獲得し、人間の機械との距離感が無くなりつつありますが、タイトルの「機械より人間らしくなれるか?」・・・どういうことでしょう?

 AI(人工知能)の世界では、人間と機械の対話はかなり普通にできるようになってきているようです。そのAIを開発している人も当然いるわけで、人間がどのように問いかけたらどのように返答するか、これを調べて解析してプログラミングするのです。

 AIと人間の対話は「人間らしく」なってきたし、コンピューターなどの機械も人間の仕事の肩代わりをどんどんこなすようになってきましたが、まだまだ機械は「指示される」ことは実行できるが「自発的に」実行はできないようです。AIとの会話も、人間の一つの問いに対する答えをAIができても、会話への割り込みはまだまだできないらしい。
 そうした、技術の進歩した「機械」から「人間らしさ」とは何かが見えてきます。
 機械は人間に代わっていろいろなことができるようになりましたが、所詮「プログラムどおり」にしか動くことができません。しかし、人間の行動や考え方が、機械との付き合いが深くなる世の中になるにつれて、ある意味「プログラムどおり」になってゆきつつあります。人間らしさが失われていくというのです。
 ブライアンさんは言います。「ある意味で、親密さーそして人間らしさーとは、このように「システムから外れ」て「一般領域」に出るためのものであり、「エキスパート」から「反エキスパート」に移行するためのものであり、役割やパラメーターが厳密に制限された状態から人間らしい言葉によって解放されるためのものである。」

 ああ、人間って、便利な「機械に」慣れることで、不自由になっていっているんだ、とちょっと思いました。
 機械は便利で今さら手放すことは難しいですが、自分自身が人間らしさを維持し、より新しいものを生み出すためには、これら機械との関係を見直す必要がありそうです。

2014-12-9

カテゴリー:科学技術

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