#140
うみがめ母さん頑張る
2014-7-25
私が宮崎に引っ越した目的の一つは、「うみがめの産卵を見る」ことと言っても過言ではありません。
(少し言い過ぎではありますが。)
宮崎に来てカミさんに、うみがめの産卵見たいなあと言いましたら、保育園の行事の一つとしてうみがめの産卵の見学会が予定されましたので、楽しみにしてました。
当日の夜に集合場所に保育園の親子たちが集合し、自動車で10分くらい北に向かった浜まで行き、そこから懐中電灯で足下を照らしながら暗い浜を皆で歩いてゆきました。
新月の夜でしたので浜は真っ暗、闇の中の波打ち際はちょっと不気味でしたけれど、うみがめの産卵についてのいろいろな解説がありまして、その自然のしくみというものにとても感心しました。
うみがめは夜に浜に上がって砂浜に穴を掘ってそこに卵を産み、その上に砂をかけて卵を埋めた後に海に戻るのですが、最近は浜がどんどん痩せてきている影響もあって波打ち際から十分な距離を経ずしてすぐに小さな崖のようになっている箇所も多く、その崖地を登れないうみがめは手前の浜に産んでしまうケースもあるそうです。そうすると、場所によっては卵の孵化が難しい場合もあり、そういう場所に埋められた卵は調査員が安全な場所に移してあげるとのこと。
棒の立っている場所が、調査員の手で移された卵が埋められた場所です。
見学の前には、この時期ウミガメが来て産卵していますがうみがめを見られないこともありますと断りがあったのですが、歩き始めて約30分、うみがめが来てますねと報告がありました。
何て幸運な!!
明かりを消して皆で海際の方に歩いてゆき、教えられた場所を見てみますと・・・
大きな石のようなものがあります。
これがうみがめ?
すでに産卵は終わっているとのことで、明かりをつけていいですよと言われたので皆で明かりをつけて見てみますと・・・
動いてます。一抱えくらいの大きな石が。
もぞもぞと動いていた石が、そのうち足を出して、ばさっばさっと砂をかけ始めました。
砂をかけてます。
その砂のかけかたがちょっと雑な感じもしましたが、でもね、母さんカメ、一生懸命砂をかけているのですよ。前足を後足を大きく、勢いよく動かして。
普段海に棲むうみがめが、地上に上がり、卵を産むというのは、夜に上陸してこっそり卵を産むということからしても、非常にリスクの高い行為であることは容易に想像できます。
少しでも多く卵が孵化し、子がめとなって海に戻り、大きく成長することを願いながら産卵したに違いありません。
子を思う気持ちは人もカメも一緒ですね、きっと。
一通り砂をかけ終わると、急いで方向転換し、海の方へ歩き始めました。
これが思ったよりなかなか早足。
母さんカメはどんどん海に向かいます。
そして私たちは母さんカメが波打ち際にたどり着き、そして海に消えるまで見守ったのでした。
母さんカメさん、周りでお話ししたり明かりをつけたりしてゴメンナサイ。
でも子どもたちも、そしてもちろん大人たちも、この神秘的な光景を、決して忘れないでしょう。
そして、これからも、子どもたちが大人になっても、うみがめたちが今と同じようにこの宮崎で安心して卵を産むことができるよう願うことでしょう。
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