#112
【読書】つぎはぎ仏教入門
呉 智英 筑摩書房
この本は仏教の入門書には違いないのですが、まず、著者の呉さんが仏教徒ではありません。ましてや学者でもありません。
お寺などの仏教文化に囲まれていながら仏教にについて知らない一日本人が、素人なりの疑問の目で仏教とは何かをまとめた本なのです。ですから、「つぎはぎ」というのはなかなか的を得た表現だと思います。
仏教とは何か、を、原始仏教と、そこから派生した様々な宗派を比べながら、さらにはキリスト教やヒンズー教など他の宗教とはどう違うか、など、誰でも感じる素朴な疑問に寄り道しながら仏教の姿を解き明かそうとする語り口は少々辛口になることもあります。
仏教について知らない人の目線で書いてますから、読者は本の内容に意外とすんなりと入り込めるかもしれません。
ただ、やはり全体的にトーンがドライな感じがします。つまり、「仏教を知って何か人生が変わるのを期待する」人向けではなく、「仏教という文化を知的好奇心から学ぶ」人向けの本のような気がします。ですから、前者に当たる方は、やはり仏教者が書いた本を読んだ方がいいと思うのです。
とは言っても、いろいろな見方に触れることはいいことだと思いますし、呉さん自身の、仏教とは何かを知りたいという気持ちが表れており、一読の価値はあると思います。
2012-3-7
カテゴリー:宗教・信仰